PMBOK第6版とシステム開発工程の関係を理解する②
~【要件定義】成果物・システム開発工程・PMBOKプロセス対応表~
PMPを学習していると、
「PMBOKの49プロセスは、実際のシステム開発ではどこで使われているの?」
という疑問を持つ方は多いと思います。
PMBOKは成果物(設計書など)を定義するものではありませんが、各成果物を適切に作成・管理するためのプロジェクトマネジメントプロセスを定義しています。
そこで今回は、
「成果物 × システム開発工程 × PMBOK第6版プロセス」
の関係を整理してみました。
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📘 要件定義で作成する成果物一覧
システム開発において要件定義はプロジェクトの土台となる工程です。
この工程では、「何を作るか」を決めるだけではなく、業務要件やシステム要件、品質要件、前提条件などを整理し、その後の基本設計・詳細設計・開発・テストへ引き継ぐための成果物を作成します。
PMBOK第6版では、これらの成果物を直接定義しているわけではありませんが、要求事項の収集やスコープ定義などのプロセスを通じて、要件定義を適切にマネジメントします。
📋 要件定義の成果物一覧
| ドキュメント(成果物) | システム開発工程 | 内容 | 主に関連するPMBOK第6版プロセス | プロセス群 | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|---|
| プロジェクト立上げ文書 | 要件定義前(企画) | プロジェクト承認文書 | プロジェクト憲章の作成/プロジェクトマネジメント計画書の作成 | 立上げ・計画 | プロジェクトの目的・体制・方針・全体計画を明確にし、要件定義開始前に承認を得る |
| 業務内容・業務仕様 | 要件定義 | 対象システムの業務内容・業務要件を整理した文書 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | 業務要件を整理し、開発範囲の基礎を定める |
| 業務処理の流れ(業務フロー) | 要件定義 | 業務全体の流れや役割・処理手順を整理した資料(業務フロー、BPM、業務DFDなど) | 要求事項の収集 | 計画 | 現行・新業務の流れや役割、処理手順を可視化する |
| システム要求設定書 | 要件定義 | システム化の背景・目的・要求事項を整理した資料 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | システムに求める機能・性能・制約を明確にする |
| システム化範囲記述書 | 要件定義 | システム化する範囲と対象外範囲を整理した資料 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | システム化する範囲と対象外範囲を明確にする |
| ユースケース | 要件定義 | 利用者とシステムの利用シナリオを整理した資料 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | 利用者とシステムのやり取りを整理し、必要機能を明確にする |
| 概念モデル図 | 要件定義 | システム全体を概念レベルで可視化した資料 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | 業務上の主要概念と相互関係を整理する |
| 業務用語集 | 要件定義 | 業務で使用する用語の定義書 | コミュニケーション・マネジメントの計画/コミュニケーションのマネジメント/プロジェクト作業の指揮・マネジメント | 計画・実行 | 用語を統一し、関係者間の認識相違を防止する |
| 機能一覧 | 要件定義・基本設計 | システムが提供する主要機能を一覧化した資料 | 要求事項の収集/スコープの定義 | 計画 | システムが提供する機能を漏れなく整理する |
| 品質要件定義書 | 要件定義 | 性能・可用性・保守性・テスト基準などの品質要件を定義した資料 | 品質マネジメントの計画 | 計画 | 品質目標と評価基準を定める |
| ユーザー・業務部門情報 | 要件定義 | 利用者・業務部門・役割・権限などを整理した資料 | ステークホルダーの特定/資源のコントロール | 立上げ・監視・コントロール | 利用者や関係者の情報を整理し、適切な権限管理を行う |
| 前提・制約・特記事項 | 要件定義 | プロジェクトの前提条件・制約条件・留意事項を整理した資料 | プロジェクト憲章の作成/リスクの特定 | 立上げ・計画 | プロジェクト判断の前提条件や制約条件を明確にする |
📋 全工程で作成・管理する成果物
| ドキュメント(成果物) | システム開発工程 | 内容 | 主に関連するPMBOK第6版プロセス | プロセス群 | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不具合管理表 | 全工程 | 発生した不具合の内容、原因、影響、対応状況、対応履歴を管理する資料 | 品質コントロール/リスクの監視 | 監視・コントロール | 不具合を一元管理し、品質向上と再発防止を図る |
| 課題管理表 | 全工程 | プロジェクト課題、担当者、期限、対応状況、解決履歴を管理する資料 | プロジェクト作業の監視・コントロール/リスクの監視 | 監視・コントロール | 課題を可視化し、対応漏れや遅延を防止する |
| 進捗管理表 | 全工程 | WBSやスケジュールを基に進捗率、実績、遅延状況を管理する資料 | プロジェクト作業の監視・コントロール/スケジュール・コントロール | 監視・コントロール | プロジェクトの進捗を把握し、計画との差異を管理する |
| WBS(Work Breakdown Structure) | 全工程 | 作業を階層的に分解した一覧。進捗・工数・担当を管理する基盤資料 | WBSの作成 | 計画 | 作業範囲を明確化し、進捗・工数・担当を管理する基盤とする |
| フォルダ構成・命名規則 | 全工程 | ドキュメント・ソース・設定ファイルなどの配置ルール | 品質マネジメント/プロジェクト知識のマネジメント | 実行 | 成果物の保管場所や命名規則を統一し、検索性・保守性を向上させる |
| 各種連絡先一覧 | 全工程 | プロジェクト関係者、利用部門、ベンダー、保守担当などの連絡先一覧 | ステークホルダーの特定/コミュニケーション・マネジメントの計画 | 立上げ・計画 | 関係者との迅速な連絡・情報共有・エスカレーションを可能にする |
💡 ポイント
PMBOK第6版では**「要件定義」という工程そのものは定義されていません**。
しかし、要件定義で作成される成果物は、PMBOKの
- 要求事項の収集
- スコープの定義
- 品質マネジメントの計画
- コミュニケーションのマネジメント
- ステークホルダーの特定
などのプロセスを実践するための重要な成果物です。
これらの成果物の品質が、その後の基本設計・詳細設計・開発・テスト・運用保守の品質にも大きく影響します。
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